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ケアの開国―職場の魅力が問われる

2008年8月3日

あと半年もすると、スカーフを付けたインドネシア人が施設や病院で働く光景を目にすることになる。

 インドネシアと日本の間で合意した経済連携協定(EPA)に基づき、看護師や介護福祉士をめざす人たちがこの7日にやってくるからだ。

 厚生労働省は「特例」と位置づけているが、フィリピンとも受け入れですでに合意し、タイやベトナムからも受け入れを求められている。高度な専門職や技術職に限っていた外国人の受け入れを、それ以外の分野に広げる一つの節目に違いない。

 これからアジアも高齢化が急速に進む。そこで互いの文化や技術を伝え合いながら歩むのはいいことだ。交流することは悪くない。

 今回来日する人たちは全員、母国の看護の資格を持っている。日本の研修機関で6カ月、日本語や生活習慣を学んだ後、受け入れ先の病院や施設で働きながら、さらに専門知識と技術を身につけていく。

 看護師は来日から3年、介護福祉士は4年以内に日本の国家試験に合格できなければ、母国に帰される。

 それにしても、志望者は予想より少なかった。募集期間が短かったとはいえ、看護師、介護福祉士が104人ずつ。EPAで合意した受け入れ枠は2年で看護師400人、介護福祉士600人だから、大幅に下回っている。

 いまの日本の医療や介護の現場が働きがいのある場といえるのか。それを問うているのではないか。

 病院や施設経営者の多くは看護や介護の仕事を外国人に広く開放するよう求めている。労働環境がきびしく、慢性的な人手不足が続いているからだ。

 まずは働く人がそこでがんばろうと思える職場に変えることだ。特に介護の現場では、重労働のわりに低い賃金が離職の主な原因になっている。

 そのような労働条件を放置したままでは日本で腕を磨こうと海を越えてくる人たちを失望させてしまうのではないか。来日志望者たちは、高い学歴や実務経験があり、将来はリーダーになれるような人たちなのだ。

 今回、受け入れに手を挙げた45の病院と52施設の責任は重い。イスラムの考え方や慣習にも気を配りながら独り立ちを支援してもらいたい。やがて日本人より安い賃金で働いてもらえる、などと期待していないだろうか。同じ仕事をするなら、日本人と同じ給料を保障するのは当然だ。

 ブローカーの暗躍をさけるため、受け入れ窓口は厚労省の外郭団体、国際厚生事業団が一手に担う。雇用契約の違反などに目を光らせる必要がある。

 地元の自治体は来日した人たちに、労働者を守る日本の法律などをきちんと知らせ、問題が起きた時には相談に乗る態勢を整えてほしい。