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ODA贈賄 不正招く「商習慣」への警鐘だ

2008年8月5日02時12分  読売新聞から

 途上国でのリベート提供を「商習慣」と安易に受け入れることは許されない。日本の政府開発援助(ODA)に絡む贈賄事件の初摘発は、企業に意識改革を迫るものだ。

 中国での遺棄化学兵器処理事業などをめぐる「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)の不正経理事件が、外国公務員への贈賄を禁じた不正競争防止法違反事件に発展した。

 東京地検の調べでは、前社長らは、ベトナム・ホーチミン市の道路建設プロジェクトの担当局長の要求を受け、2003年と06年に現金計約9000万円の賄賂(わいろ)を渡した疑いが持たれている。

 海外贈賄の摘発は、福岡区検が昨年、フィリピン国家捜査局の幹部2人にゴルフセットを贈った九電工の現地子会社の元幹部らを略式起訴して以来、2件目だ。

 ベトナムにとって日本は最大の援助国である。昨年度のODA供与額は約1000億円に上る。

 PCIは、過去にもベトナムやコスタリカなど16か国へのODAに関連し、国際協力機構(JICA)に水増し請求するなど計1億4000万円の不正経理をしていた。コスタリカなどでは現地の有力者にリベートを渡していた。

 今回の容疑は、PCIが途上国で繰り広げた不正なリベート提供の一部にすぎないのではないか。検察は全容を解明してほしい。

 外国公務員への贈賄については1998年、日本を含む経済協力開発機構(OECD)加盟国などが防止条約を締結した。それに伴い、日本は不正競争防止法を改正し、国内法を整備した。

 だが、情報収集が難しく、相手国の協力も必要なため、なかなか摘発されなかった。2002年、モンゴルへのODAに絡み、三井物産が同国高官に現金130万円を渡した疑いが強まり、適用が検討されたが、見送られた。

 条約発効以来、約100件を摘発している米国などに比べ、日本は実績で大きく見劣りしており、OECDから再三、勧告を受けてきた。日本にも積極的な摘発姿勢が求められる。

 また、収賄側も当該国で厳正に処罰されねば、今回のような要求型の賄賂授受は根絶されない。

 一方、企業は、要求に応じることが日本に対する国際社会の信頼を損なうことを認識すべきだ。

 日本はアフリカ向けODAにも力を入れようとしている。ODAを貴重な外交手段として生かすには、企業の自律した行動と外務省の厳正なチェックが不可欠だ。