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テロ解除延期―検証なしに前へは進めぬ

2008年8月22日

米政府が、北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を先送りすることになった。ライス国務長官が高村外相との電話でそういう考えを伝えた。

 指定の解除は、北朝鮮が核開発計画を申告するのとセットになっている。申告の内容が十分なものなのか、正しいのかどうか。それを検証しなければならないのに、そのやり方について具体的な合意は何もできていない。先送りは当然の結論だろう。

 ブッシュ大統領も「合意なしには解除しない」と繰り返していた。

 米国は検証の進め方についての案を6者協議に示し、日中韓ロはとっくに同意している。北朝鮮だけがまともに応じていない。

 北朝鮮はもともと、6者合意に基づく今回の申告に検証は含まれないという立場だった。申告と核施設を使えなくする無能力化、北朝鮮への経済・エネルギー支援とテロ指定解除。核放棄に向けたそういう「第2段階の措置」を終えた後に検証に入ればいいという考えなのだろう。

 だが、先月の6者協議では、検証すること自体には北朝鮮も合意したはずだ。不十分な申告書であっては義務を果たしたことにならないのだから、当然のことだ。

 指定解除の先送りには、米国の国内事情も大きくからんでいる。

 もともと米議会には、ブッシュ政権が北朝鮮問題で成果を急ぐあまり譲歩し過ぎているとの批判が少なくない。北朝鮮は本当に核を捨てるつもりがあるのか。そんな根本的な疑念もある。

 申告に対する検証の問題を中途半端にしたまま先へ進むことはできまい。

 北朝鮮は「約束が違う」と反発するかもしれない。だが、6者協議の合意がこれで壊れたわけではない。

 ブッシュ大統領が指定解除の意思を議会に通告して45日が経過した。手続き上は、いつでも解除することができる。北朝鮮が指定解除を望むなら、すみやかに検証に応じることだ。

 日本との間についても、同じことがいえる。中国できのうから日朝政府間の協議が始まった。焦点は、北朝鮮が約束した日本人拉致問題についての再調査や、日航機乗っ取り犯の引き渡しなどをどう実行するかだ。北朝鮮がそれを進めれば、代わりに日本の独自制裁の一部は解除される。

 そうした道筋はすでに明らかなのに、合意から2カ月がたっても具体的な動きはなく、口約束の域を出ていない。北朝鮮が実際の行動に踏み出す姿勢を見せない限り、テロ支援国家の指定解除と同様、日本も見返り措置は先送りにせざるを得ない。

 6者合意の原則は「行動対行動」だ。行動が伴って初めて事態は前に進む。北朝鮮に求められるのは具体的な行動である。