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2008年8月19日8時6分
米原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れ事故を受け、基地の街・長崎県佐世保市が米原子力艦の寄港に態度を硬化させ始めた。朝長則男市長は、市による原子力艦防災訓練への米海軍の参加や、佐世保港内への放射線測定器の増設を国に改めて要求。市議会特別委も18日、原子力艦の監視や防災体制が確立されなければ「安易に入港を認められない」とする国への意見書案をまとめた。21日の本会議で採択される見通しだ。
「測定体制が十分でない」「原子力艦防災訓練に米軍が不参加である現状に不安と危惧(きぐ)の念を抱く」。市議会の基地対策特別委員会が全会一致で可決した意見書案には、こんなストレートな表現が並んだ。永山正幸委員長は「入港拒否も辞さない憤りを示した」と強調する。
米海軍佐世保基地を抱える佐世保港は、日米地位協定により米軍に提供された水域が港内の8割を占める。地方自治体に入港を拒否する権限はない。だが、意見書案からは、放射能漏れを深刻に受け止める市議会側の姿勢がにじむ。
64年以来、同港には延べ304隻の原子力空母、巡洋艦、潜水艦が寄港。今月、ヒューストンの放射能漏れが判明した後も、同型艦ラ・ホヤが2度にわたって寄港した。
これまで市は、国の安保政策に協力する立場から寄港を容認する一方で、市民の不安解消に努めてきた。02年から実施している米原子力艦の放射能漏れを想定した防災訓練も、その一環だ。文部科学省が異常な放射線量を検知し、消防や県警などが住民を避難させるシナリオで、市は「初動を迅速にするには米軍の情報提供が不可欠」として、03年から米海軍に参加を求め続けてきた。
米側は「現実的でないシナリオは住民に不安を与える」として拒否してきた。防災訓練への参加要請を仲介してきた外務省も「側面支援はする、と消極的だった」と市関係者は言う。
だが、今回の放射能漏れの発覚で政府の姿勢は変わりつつある。
町村官房長官は5日、「防災訓練に米軍が参加するのは当然と思っている」と言及。外務省も在日米大使館に「佐世保市の訓練に参加してほしい」と求めた。朝長市長が13日に同省を訪ねた際も、西宮伸一北米局長は「機会があれば改めて申し入れる」と積極的な姿勢を強調した。
それでも、在日米海軍は朝日新聞の取材に「訓練に参加する計画はない」と、これまでの姿勢を崩していない。
朝長市長は15日、朝日新聞の取材に、「今回の事故で原子力艦が絶対安全とは限らないことが分かった」と語り、測定器の増設など国の対応が進まなければ「重大な決意をせざるを得ない」と、入港拒否の可能性すら示唆した。
市基地政策局幹部は「原潜の佐世保寄港を認めたのは国。その責任を認識し、米海軍の訓練への参加を実現させてほしい」と訴える。
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〈佐世保と米原子力艦〉 原子力空母や潜水艦など米海軍原子力艦の寄港地は佐世保と横須賀、ホワイトビーチ(沖縄県)の各基地に限られている。佐世保基地には1964年、原子力艦として日本で初めて原潜シードラゴンが寄港。68年に原潜ソードフィッシュが寄港した際は、港内の海水から平常値の10~20倍の放射線が検出された。