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日本陸上距離陣の悲願だった男子四百メートルリレーのメダル獲得。
個々の走力では海外の強豪に劣る日本の快挙達成には理由がある。
まずはバトンパスの技術の習熟度。日本は受け手が腕を下に下げて、手のひらを下に向け、渡し手が下から渡すアンダーハンドパスを採用。確実性が増すのが長所だが、受け手の加速が若干鈍り、タイムを稼げない短所がある。それを受け渡しの精度を高めることで解消してきた。
それを示す一つのデータがある。この日と同じメンバーで38秒03のアジア新記録で5位に入った昨年の世界選手権決勝。「バトンを受けて渡す」という二つの作業が必要な第2走者の末続、第3走者の高平のラップタイムの合計は、2位ジャマイカ、4位ブラジルの2、3走者の合計より速かった。無論、パスの位置や走る距離が異なるため、単純比較は出来ないが少なくとも「スムーズだった」と表現していいだろう。
もう一つが日本のリレーに対する姿勢。予選でバトンを落とし、失格した米国のように、個人種目に強豪がそろうチームは、リレー練習に割く時間が少なくなりがち。ひと昔前は試合前練習で初めてバトン練習をする国もあったほど。日本は、昨年の世界選手権時から、同じ顔ぶれと走順で何度も合宿を行ってきた。塚原は「僕たちは(バトン)ゾーンに入ったら僕たちだけの空間を作ることが出来るんです」と胸を張った。
1人の力では到底、なし得なかった快挙は、息のあった4人だったからこそ到達出来たものだ。(新宮広万)