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米国株急反落、ダウ312ドル安 財政の崖など警戒 金融株に売り
2012/11/8 7:15
【NQNニューヨーク=滝口朋史】7日の米株式相場は3営業日ぶりに急反落した。ダウ工業株30種平均は節目の1万3000ドルを割り込み、終値は前日比312ドル95セント(2.4%)安の1万2932ドル73セントと8月2日以来約3カ月ぶりの安値だった。下落幅は昨年11月9日以来ほぼ1年ぶりの大きさ。6日投開票の大統領選の結果を受け、大型減税の失効と歳出削減が来年初めに同時に起きる「財政の崖」への警戒感が強まった。欧州景気の先行き不透明感も投資家心理を悪化させた。
米大統領選・議会選はオバマ大統領の再選が決まり、上下両院の多数派政党が異なる「ねじれ」の継続も確定した。年末に向けオバマ政権と議会が「財政の崖」問題の解決で妥協するのは容易でないとの見方が改めて広がり、幅広い銘柄に売りが出た。
取引終了間際に記者会見した共和党のベイナー下院議長が「国家として直面する困難の解決策をともに探る道をみつけるのが我々の使命だ」と、財政の崖の回避に向けた交渉に応じる構えをみせた。ただ、市場では好感する動きは目立たなかった。
オバマ氏再選で金融規制の強化路線が続くとの見方からJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が大幅に下げた。クリーンエネルギーの普及を掲げるオバマ氏が排出ガス規制を強化するとの思惑から石炭のアーチ・コールや石油エクソンモービル、シェブロンにも売りが膨らんだ。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が講演でドイツなど欧州の景気に慎重な見通しを示した。欧州の主要株式相場が下げ、スペインとイタリアの国債利回りが上昇(価格は下落)したことも投資家心理を萎縮させた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は、前日比74.64ポイント(2.5%)安の2937.29で終えた。時価総額が大きいアップルが一時5カ月ぶりの安値を付けた。インターネット検索のグーグルやネット通販のアマゾン・ドット・コムなどの主力株も軒並み下落した。
業種別S&P500種株価指数は全10業種が下げ「金融」や「エネルギー」、「IT(情報技術)」が3%前後の大幅安となった。下げが最も小さかった「生活必需品」も1%安。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が8億8000万株(速報値)、ナスダック市場が約20億1000万株(同)だった。
オバマ氏再選で国防費削減が進むとの見方からノースロップ・グラマンやロッキード・マーチンなど防衛関連株が安い。医療保険改革が予定通り施行されれば事業採算が悪化する可能性があるとしてユナイテッドヘルス・グループやエトナなど医療保険株も大幅に下げた。
市場予想を上回る四半期決算を発表した食品のクラフト・フーズ・グループは買い先行後に下落した。
一方、医療保険改革で通院患者が増えるとの見方からHCAホールディングスやテネット・ヘルスケアなど病院株が大幅に上昇。四半期決算の内容が市場予想を上回ったメディア大手タイム・ワーナーも大幅高で終えた。
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